空腹です
妖怪縁日『幽』物販ブースでは、山下昇平さんの手書きTシャツなど、オリジナルグッズも多数用意されている模様。詳しくはこちらをご覧いただくとして、ここではイベントにご出演の皆さんの書籍を覗いてみましょう・・・
●旧怪談(ふるいかいだん)耳袋より 京極夏彦
根岸鎮衛による江戸の奇談随筆集『耳嚢』を、京極夏彦先生が現代の『新耳袋』ふうにアレンジした一冊。単なる現代語訳ではなく、オリジナルの行間や、ある一語にこめられた奇妙な感覚を、ぐっと引き出して見せる手腕が、京極先生ならではの超絶技巧。そうか、そこが恐いのか・・・と、各話の終わりに添えられたオリジナルと、ついつい首っ引きで見比べて嘆息しきりです。
カテゴリーは児童書だそうですが、『耳嚢』をはじめて読む方もはじめ、大人の方に断然オススメです。
●幽談 京極夏彦
『幽』に連載された、奇妙な味の短編集。大部分の話が、何かが“見える”人の語りで構成されているのですが、その中で話者が“見えたモノ”に対する態度が妙に冷静で、読み進めていくと、直接的な恐怖より、じっくりと“見えてしまったらどうしよう”という感覚が満ちてくるようです。“見えたモノ”が恐いのか、“見える人”が恐いのか、さてまた自分の中の恐怖の芽が恐いのか・・・なんて読み返すたびに色々考えてしまい、何度でも楽しめます。中でも、“見える人”に対する思いと、恋慕の感情が交差する「十万年」は、わかりあえない他者への憧憬を描いた、青春小説・恋愛小説の傑作だなあ、と思いました。
●深泥丘奇談 綾辻行人
“館もの”等数々の作品で新本格ミステリを牽引する綾辻行人先生はまた、『殺人鬼』シリーズなどスプラッタ・ホラーも手がけられています!なので『幽』から単行本がでるときいて、それももう、ぐっちゃんぐちゃんのスッゴイのが・・・と想像していたら、物静かでユーモラス(でもちょっとスプラッタふうアリ 笑)な一冊でありました。
熱が出て学校や会社を休んで、昼間から布団の中で朦朧としているときに見る、気味の悪い夢うつつ。“深泥丘”に立つ奇妙な病院を中心に、どこか調子の狂った街と人々とが織り成す日常風景は、そんな微熱に冒されたアタマが見せる幻覚のようで、なんだかとっても気持ちがイイ~。ページから夢魔がはみ出してくるような美しい装丁も、ぜひ手にとって見て欲しいです。
ああ、僕も、熱が出たときには、咲谷さんみたいな看護婦さんに介護してもらいたい・・・![]()
●怪異実聞録 なまなりさん 中山市朗
可憐な女の子が、底意地の悪いゴージャスシスターズにイジメ抜かれ、やがて自殺してしまう。その子の霊がシスターズに祟って・・・というなら話も落ち着くのですが、生前の可憐ちゃんが霊山に篭るは、わら人形に血文字で呪詛を飛ばしていたとあっては、本当に恐いのは一体どっちだ!?と混乱してしまいます。やがてシスターズとその実家が祟られるのですが・・・
因果が報い仇に祟るのであれば、それは“お話”として消化できるのでしょうが、“実話”ならではの、理不尽で制御不能な展開には、生理的な恐怖感がまとわりつきます。ああ恐い、ああああ恐い。
この先は、是非手にとって読んでみてください。
●心霊づきあい 加門七海
この書影に写っている人物のうち、11人が心霊~っ!コワっ!
・・・という仕様ではまったくないそうです 加門先生が“会いたい!”と熱望した「心霊づきあいの達人」11人との対話集。稲川淳二、平山あやら芸能人から、作家、漫画家、学者・・・と様々なフィールドは違えど、霊が“見える”こと、“存在すること”を肯定し、徒に恐がることなく過度に騒ぎ立てない彼らに、加門先生が自身の体験も交えながら“霊とのつきあいかた”の奥義を尋ねていきます。
彼ら“達人”の話からは、慎み深く、しなやかで優しい人間的な魅力が感じられます。知らない世界への飽くなき好奇心を支えるのは、きっとそうした人としての度量であり、優しさなのだなあ、と“見える人”への印象がどんどん変わっていく。
加門先生があとがきで、『今日からの新たな「(霊との)出会い」を心おきなく楽しめる』と仰ってますが、それは相手が霊であろうと人であろうと、常に心がけておきたいことだなぁ、とつくづく思いました。
不寛容の時代を生きる現代人におくる、あらゆる“異人”とのつきあいの極意がここに!!とまで言ってもいいかもしれない!『怪談ノ宴』開催の前日、22日(金)に書店に並びます。
●怪談実話系 書き下ろし怪談文芸競作集 『幽』編集部 編
『幽』オールスター揃い踏みの、豪華文庫オリジナルアンソロジー。イベント出演の方でも、京極先生、福澤徹三先生、加門七海先生、中山市朗先生、木原浩勝先生、平山夢明先生とほとんど全員網羅できますので、時間のない方はこれ一冊で予習はばっちり。
と、冗談めかして書いてますが、実は僕、このサイトを手がけるまで、“実話系怪談”をほとんど読んだことがなく、メディアファクトリーのRさんにこの本を送っていただいたのを幸い『どれどれ、予習に・・・』と読んでみたのですが、僕なんぞのイメージする“怪談”イメージのはるか斜め上を行く内容の多彩ぶりと、そして面白さ!この面白さをあらわすには、巻頭の東雅夫さんの序文から一節を引用するのが一番でしょう。曰く
そこで語り出される物語は、虚実皮膜(きょじつひにく)のリアルサイドに楔を打ち込み、亀裂を走らせ、われわれの眼前にある現実(リアル)を震撼せしめるものでなければならない・・・
語り巧者10人が仕掛ける、現実世界への痺れるようなトラップを、堪能して堪能して堪能して・・・(×10)できる一冊です。
※はみだし通信 この本のどこかに登場する、怪談BARの主人“S”さんは、怪談社の紗那さんのことだそうです。
●しんみみぶくろ5 幽霊学級
木原浩勝先生、中山市朗先生の大ヒットシリーズ『現代百物語 新耳袋』。その面白さをギュっと濃縮し、村上健司先生の筆で子供向けにリライトされた『しんみみぶくろ』シリーズ。モノ疑わぬ無垢な子供の心に、一生残らない怪異の種を植え付ける、我々世代でいえばジャガーバックスみたいなこの世になくてはならない本の一冊でしょう。挿画は石原豪人や柳柊二みたいな貸本屋が似合う画風ではなく、ファンシーショップが似合いそうなJINCOさんのイラストというのも、今の子供には身近でリアルなのでしょう。収録されたお話は、イラストの可愛らしさに似合わない(?)本気の怪談が詰まっているので、大人でも楽しめます!
さて今、映画村妖怪まつり・百鬼妖怪展では、このJINCOさんのイラストを大型POPにしたものが展示されています!一緒に写真も撮れますよ!是非お立ち寄りください!
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